私はビートルズが本当に好きで好きでどうしようもない。
213曲の公式発表曲というのはどれもビートルズらしく、古めかしく、新しく、カッコいい。
メンバーの中では特に、ジョンレノンを尊敬しているのが私だ。
この人はカッコイイなんてチープな言葉では言い表せないのだが、私の中でジョンレノン節というか、如何にも「ジョンレノン!」な、ジョンレノンらしい声を全身で感じられる曲が何曲か存在する。
ジョンレノンを感じたければこの辺を聞いとけ!みたいなポジションに勝手に私の中で、私の独断と偏見で位置されている曲だ。語彙力が死ぬ。
今回褒めちぎろうと思っている曲は、その「ジョンレノン!」な曲の中の''Yer Blues''という曲です。
''The Beatles''通称ホワイトアルバムに収録されている曲で、もう最高にジョンレノン丸出しのステキナンバー。
ハチャメチャにヘビーで、ハチャメチャにカッコイイ。それしか言えないです。
''Yes,I'm lonely''
''Wanna die''
から始まる歌詞があまりに重すぎる。めちゃくちゃに自暴自棄。
「そうさ、俺は寂しいのさ。死にたいんだ。」
ってことですよね。重い。
朝になっても夜になっても死にたいしロックンロールすら嫌いになると、そうジョンレノンは言っている。
ロックンロールすら嫌いになる程の孤独感を私は正直感じたことがない。重い。
この歌はそういったヘビーでダーティな感情を最高の声で最高の形で表現していると思う。
そこら中に点在してる負の感情のすべてを一つの背中に担いで私の耳へと飛び込んでくる。
暗い感情をぶつけた曲は数多く存在するか、これほど生々しい肌触りは他では味わえない。
この曲は一つの楽曲として見ても素晴らしい出来だと思う。
ウネるヘビーなベースにエッジの立ったリードギターとタメの効いたドラム、そして哀愁と怒りを孕んだボーカル。ビートルズが本気でブルースをするとこんなにもブルースなのか!と感じずにはいられない。
ビートルズがブルースをする、という新鮮味のあるレコーディングが澱んだメンバー間の関係をいい方向に刺激するスパイスになったんだろうなと妄想している。
有名な話だが、この曲はRolling Stones主催のロックンロールサーカスという企画の一環で結成された''The Dirty Mac''という、
ジョンレノン:ギター、ボーカル
エリッククラプトン:リードギター
キースリチャーズ:ベース(!!)
ミッチミッチェル:ドラムス
といったメンバーのスーパーバンドで演奏された曲だ。BEATLES、cream、Rolling Stones、The Jimi Hendrix Experienceと、時代を牽引した錚々たるメンバーの豪華さに目が眩む。キースリチャーズは彼らとどうしてもバンドが組んでみたかったんだろうなぁ、と感じてちょっとニコニコしてしまう。
Yer Blues - Dirty Mac (John Lennon, Eric Clapton, Keith Richards, Mitch Mitchell)
まぁそりゃあこんな豪華メンバーなら当然カッコイイわな、って話なんですが、私はオリジナルの方が好きです。
技術だとこっちのバンドの方が上なのかもしれないが、なんだかんだ仲が悪いなりにも互いのことを理解しているビートルズメンバーがビートルズの作った曲を演奏した方が良く感じる。
エリッククラプトンのビブラートが効きつつもパワフルなリードギターも良いが、ジョージハリスンが慣れないなりにも精一杯、力強く弾いたリードギターの方に味を感じるのは私だけではないと思う(尊敬する先輩で、盟友でもあるジョージに気を使ってそれ程派手に弾かなかっただけかもしれないが)。ベースのキースリチャーズは思いの外、無骨ながらいい味の出たベースを弾くが、やはり名手ポールマッカートニーと同じ土俵ではないだろう。ドラムはリンゴスターとはまた違った味のある風に叩いてくれそうなミッチミッチェルだが、慣れないメンバーで掴めないのか割とシンプルなドラミングに収まっている気がする。ミッチミッチェルのドタドタと手数の多いドラムはリンゴスターともcreamのジンジャーベイカーともまた違って凄く好きが故に少し残念だ。
ビートルズを褒める為にか、このバンドを悪く言ってしまったが、このバンドにハマって永遠にDirty MacのYer Bluesだけを聞いていた時期が私にはあったので、言葉に出来ないがこのバンドに表現できてビートルズには表現出来なかったこの曲の良さというのもあるはずだ。後にも先にも考えられないほどの腕利きヒーロー揃いのスーパーバンドなので、彼らがこの曲を完璧に自分のモノとした時にどれほど素晴らしくなるかと思うと永遠に叶わないこのバンドの再結成にとてつもなく期待してしまったりもしている。
また、我ら日本人の異端児、椎名林檎によるカバーも素晴らしいものだ。正直如何にも椎名林檎が好きそうな曲だとは思うが、彼女独特のあの金切り声で、ジョンレノンとは異色でありながらも同系統らしさも同時に感じてしまう。彼女の、この曲とジョンレノンに対する尊敬をつい感じてしまう。期待以上のダーク感を感じることができるので強烈にオススメできる。
人間誰しも、強烈に孤独感を感じて死んでしまいたくなる時があると思います少なくとも私には不定期に1年に2.3回くらいそんな時期が来ます。死ぬ勇気なんて当然ないけど。
でも孤独感を感じることも消えてしまいたくなることも個人の自由だしいいじゃないか、と私は思う。
そんな時に聞くとめちゃくちゃ苦しくなってキモチイイ、私にとってはそんな曲だ。誰も理解してくれない(という被害妄想に囚われた)私の気持ちを理解してくれるのはやっぱり私にとってのヒーローであるジョンレノンだったんだ、と思わずにはいられないステキで気持ち良くて暗くて重くて怖い曲です。これからもこの曲にはよくお世話になると思います。